生まれて初めてあたしが愛した人は
特攻隊員だった。
大きな愛を胸に秘めた、
優しくて強い、あたたかい人。
あたしの大切な人。
彼は、あたしと出会ったときには
もうすでに死を覚悟していた。
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そんな序章から始まる、この作品のタイトルは『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』。
2016年7月に上辞された、汐見夏衛さんの処女作で、昨年には映画化もされ、年末観に行ってきました。
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第二次世界大戦中、連合国に引けを取っていた日本は、通常の戦法では勝算を期待出来ないと判断し、軍の上層部は敵国の艦船の心臓部(エンジン)を攻撃対象とした、爆装航空機による直接襲撃の為の体当たり攻撃部隊「神風特別攻撃隊」を作りました。
決して生きては帰れない特攻隊、行きの燃料しか入れられていない特攻機、多くの青年達を死に向かわせた作戦。
わずか八十年前、まだ一世紀にも満たない私達の母国の歴史のある時に、主君の為に自己を犠牲としても忠誠を誓うことが美徳とされた、忠君愛国の思想が叩き込まれていた当時、天皇陛下の御為に、大日本帝国の為に、国民の為に、自分の命と引き換えに母国の勝利の為に自殺行為同然の出撃をする生き神様と呼ばれた若者達がいたこと。
ネットで「特攻隊」と画像検索をすると、突撃を目前としているとは思えないような和やかに笑う青年達のお写真が並びます。
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祖国の為に潔く美しく散れることを栄誉とした若者達は、出撃の日時が決まると、遠い故郷にいる家族や恋人に手紙を出し、今生の暇乞いを終えると「おめでとうございます」とお祝いの言葉を贈られ、基地を飛び出す-。
この作品の中で、自分の好きな人の出撃が決まり、これからもう顔を見ることができなくなってしまう、本当は引き止めたいのに死にに行く好きな人を引き止められない辛さ、そんな溢れ出しそうな感情を抑え込み、好きな人を精一杯の笑顔で送り出す若い女の子を映した場面があり、現実に当時そんな子たちがどれだけいたのかと思うと、大切な人を残して旅立つ特攻隊員もどれだけ辛かったか、残された人たちがその後どれだけの悲しみを堪えて生きていったのか、そして、残した特攻隊員達が願ったようにちゃんと彼らの家族や恋人達がその後幸せになれただろうか、ちゃんと笑顔を取り戻すことができたのか、そんなことを考えた時、胸が張り裂けそうになり戦争の悲しさに涙が溢れてしまいました。
戦争というと、長野県に無言館という戦死した学生達の作品を集めた美術館があり、近い内に伺ってみたいです。
今月DVDが発売されたため、半年振りに鑑賞したのですが、生涯心に残る作品の一つになりました。
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冒頭のプロローグには続きがあります。
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「愛する人たちを守るために
俺は死にに征くよ」
揺るぎない瞳で、そんな悲しいことを言った。
「行かないで」
泣いてすがるあたしを、
彼はただ静かな眼差しで
あたしを包み込むだけで。
そして、ある夏の日、
恐いくらい綺麗に晴れた青空の向こうへ、
消えていった。
ねえ、彰。
あたしの声が聞こえますか。
今、あなたはどこにいるの?
そこは、痛みも苦しみもない、
安らかな場所ですか?
風に吹かれる花びらのように
儚く散ってしまったあなたが
せめて今は
穏やかに眠っていることを祈ります
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ご覧になられた方は、いらっしゃいますか?
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そして、迫る七月、来月は一日だけなのですが、夜のお時間帯に、お店に出させていただけたらと思っています。
また、しっかりと決まりましたら、ご報告を兼ねたご挨拶を改めてさせてください。
本日も大切なお時間を割きこちらをご覧くださり、本当にありがとうございました。
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